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さて、省エネ基準に伴う高断熱・高気密住宅のお話をしてきましたが、

本来、住まいとは人の健康を守るものです。

新省エネ基準や高断熱・高気密を語る前に

人が健康で過ごすためには、

家中どこでも活動しやすい室内温度が保たれ、そのために次世代基準の断熱性能が

住宅には必要だと考えるべきです。

” 健康のための住まいづくり ”

これこそが省エネ住宅建築の基礎となるべき要素です。

健康が保たれる住まいづくりが出来ると次はより気持ちよく暮らせる

” 快適感 ”です。

快適な温度環境とはどのようなものでしょうか。

快適感・・・これは個人がどう感じるかでかわってしまいます。

個人の価値観です。

何がどう快適なのかは個々人によって異なりますが

快適感には以下の要素があると思います。

居住地域の温度

居住地域の日射量

居住環境(構造・材質)

そして個人のセンス感性(温熱感)

快適感の違いで、住み手は自分の思う「快適」を家に求めます。

ヒートショックや結露の危険さえなければ我慢の生活を美徳と考え

無暖房で過ごす人もいらっしゃるでしょうし、空調を駆使して冬は全館20℃以上

夏は全館28℃・湿度50%以下を求めるのも自由です。

暖冷房費がいくら増えようが心地よさを選ぶと いうのは少し残念な快適追求ですが

断熱した上で高効率機器を使い小さな燃費で快適に過ごすのは賢い住まい方です。

日射量に恵まれた土地では、完全に心地よいわけではないものの我慢するわけでもなく

暖房なしで何となく一日を過ごしてしまうという不思議な快適感もあります。

暖かくはないものの寒いわけでもなく、こたつがあれば十分という

温度感覚といえばわかりやすいでしょうか。

不思議な快適感の暮らしが成り立つのは断熱により最低限の暖かさを確保していることが

前提となりますが、もう一つ不可欠な要素が「太陽の光」です。

省エネ住宅を考える上でで、日射量がどうあるかは断熱性能と切り離して考えることはできません。

壁面の素材や窓の断熱性も関係してきます。東京・神奈川のような日射量が多い場所では

壁の蓄熱性が高ければ窓を大きくすることで暖房負荷が小さくなりますが

新潟では窓が小さい方が暖房負荷は小さくなります。

しかし、新潟でも窓の断熱性を上げれば窓を大きくした方が暖房負荷は小さくなります。

このように、 断熱性能と日射量は設計の上で複雑にからみ合い、切り離して考えることができません。

断熱性能を高めれば当然コストアップにはなりますが、Q値2.7は技術的に極めて

難しいというわけではなく施工コストも断熱性向上による暖冷房費

削減効果と照らし合わせれば許容しやすいレベルです。Q値2.7に高めるには

壁・天井・床などを十分に断熱した上で、窓の性能向上に力点を置くのが効果的です。

日射熱を取り入れるために窓面積を広くすることを前提にすれば

日射がないときの熱損失をどう防ぐかが肝心となるからです。

ガラスを変更するなど窓単体での断熱性アップより、断熱戸や断熱ブラインドなど付属部材

との組み合わせを重視するのがよいと思います。

高断熱高気密住宅は何もしなくても暖かいという誤解を受けることがあります。

しかし実際には、家の中に全く熱源がない状態で外気温が零度であれば

当然な がら室温も零度になります。ただ、住まいに全く熱源がないとう状況は

現実にはほとんど考えられません。人がいれば人の体温がありますし

生活のために使用 する照明やさまざまな家電製品が熱を発しています。これら生活熱と呼びます。

住まいの最大の熱源となるのは、開口部から差し込む日差し、太陽です。太陽による日射熱は

生活熱より遥かに大きなエネルギーで家を温め、室内温度に 直接的な影響を与えます。

陽が当たる住まいというのはそれだけで大きな価値であり

日射がどの時間帯にどのぐらい確保できるかは家のつくり方を左右する重 要な要素です。

ほとんど日射がない場所での家づくりはどうすればいいのかなど質問を受けることがありますが

そうした状況でできることは限られており、開口部を小さくして熱損失を抑えるしかありません。

そうではなく「日射が得られる立地を選んで家づくりをすること」を強く勧めたいのです。

寒い冬、最大の暖房器となってくれる太陽の光を利用しない手はありません。

日射を取得してその熱を蓄え、日射がなくなった後でも暖かさを保つ住まいを

パッシブデザインの家と呼びます。

高断熱・高気密を前提に、建築的手法により太陽の光を受け身(passive)

に利用するパッシブデザインでは、何もせずいつでも完璧な快適感を

得られるわけではありません。部屋や時間帯によって は

15℃程度で少しの我慢をすることもあります。

パッシブデザインでは、地域や立地によって異なる日射をいかに利用するかが

肝心なため、建築設計の上でも経験的判断を要することになります。

与えられた 個々の条件の中でどうすれば最大の日射量が確保できるか

そのための窓の大きさはどうか、断熱材はどう入れるのが適当かなど

あらかじめ計算して出るものではないからです。

一方、高断熱高気密住宅というと、断熱材で固めた窓の小さな閉鎖的な

住まいのイメージが先行しているのも事実です。高断熱高気密住宅=空調支配の家

という発想もここから来るのでしょう。パッシブデザインとは異なるそうした住まいも、

確かに高断熱高気密住宅のひとつの方向性ではあります。

「冬でも全 館いつでも20℃以上」という完璧な温熱環境を求める場合

計算通りの快適性と省エネ性を実現する人工住宅は、

技術的にはパッシブデザインに比べて遥かに 簡単といえます。

断熱材の厚みを増やし、開口部の面積をできるだけ小さくすれば良いだけです。

その上で高効率な空調設備を導入すれば、最小限のエネルギー

で季節や天候を問わない均一な温熱環境が得られるでしょう。

日射に恵まれた土地であれば、太陽という暖房器を無視した暮らしは

非常にもったいないと感じます。それは単純に消費エネルギー量の大小 だけの問題ではありません。

季節の移ろいを感じながら太陽という自然の恵みを利用する暮らしは

日本住宅の良さが活かされたものでもあります。


あらためてパッシブデザインとは何かを問われると

太陽の光が降注ぎ、風が通り抜ける自然な家という感じがします。

断熱・気密を充実させながらもパッ シブ(passive=受け身)に自然を捉え

自然をそのままに楽しみながら、ときには肌寒さを我慢したり

日が差すのを期待したりする住まい方には「自然」という言葉が当てはまりますでしょうか。

同じ高断熱高気密住宅でも空調で完璧に温度管理する固定された快適感に比べ

もっとリッチな快適感といえるでしょう。

住宅の高断熱・高気密化は今日どのような状況を迎えているのか

「省エネ住宅」とはそもそも何なのか。

日本の風土・気候に合った高断熱高気密住宅とはどうあるべきか。

お客様と共に考え、共に歩める建築家集団でありたいと思いを込め

空間づくりをしていきたいと思います。
 

 
   


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